光合成細菌(PSB)の増やし方。ご家庭での培養方法
光合成細菌のうち、紅色非硫黄細菌は、適切な環境と培基(餌)が整えば、ご家庭でも簡単に増やすことが可能です。本ページでは、初心者の方でも効率的な培養方法と、濃い光合成細菌液を作るための注意点や培養方法を詳しくご紹介します。
光合成細菌の培養に大事な環境
適切な温度
光合成細菌の培養温度は10~38度の範囲が目安で、22~35度程度が最適温度となり、効率的に増殖します。そのため、培養に適した温度範囲を維持することが重要です。特に真夏などの暑い時期などに水温が40度を超えると菌が弱り、培養が進まなくなったり、失敗してしまうことがあります。混合液は外気温よりも水温が高くなりやすいので、外気温が35度を超える真夏日には、簾をかけたり、水をかけるなどして温度管理を行いましょう。
一方、11月から2月の冬季には、日照時間が短くなり、気温が下がるため、菌の活性が低下し、培養の速度や精度が低下します。この時期には、ハウス内や室内の窓際など、日の当たる温かい場所での培養を行ってください。
日照量※可視光線
光合成細菌の培養には、適切な光が不可欠です。自然光やLEDライトを使用して十分な光量を確保することが重要で、特に冬場のように日照時間が短くなる季節には、LEDライトや室内培養を取り入れることで、より効果的に培養を行うことができます。
嫌気環境
光合成細菌のうち、紅色非硫黄細菌は酸素の有無に関わらず増殖できますが、酸素を好む好気性細菌が繁殖しにくい嫌気環境がより適しています。有酸素環境では好気性細菌が光合成細菌より増えやすくなるため、空気の混入を最小限に抑えることが推奨されます。空気抜きができる容器を使用したり、小分けにして空気の混入を防ぐことで、光合成細菌の培養効率を高めることができます。
他の雑菌の繁殖
光合成細菌の培養は、光合成細菌と他の菌との競争環境となるため、成功の鍵は他の雑菌が少ない状態を保ち、光合成細菌が多く含まれた濃い種菌を使用し、綺麗な容器を使用し、他の菌を少なくすることです。細菌培養では、特定の菌のみを単独で増やし続けることは難しいため、光合成細菌が優位に増殖できるように、環境を整えましょう。
適切な栄養と専用の餌
光合成細菌の培養で最も重要なのは、光合成細菌が優先的に増える培基(餌)を与えることです。光合成細菌には複数の種類があり、偏った栄養環境では特定の菌が増えにくくなり、培養が失敗したり、繰り返すうちにうまくいかなくなることがあります。培養がうまくいかない原因や色が濃くならないのは、栄養素が光合成細菌に最適化されていない可能性があります。そのような場合は、専用培養液を使用することで、安定した培養が期待できます。
光合成細菌原液や専用培養液はこちらから
培養前に準備するもの
光合成細菌の原液
培養を開始するための種菌として使用します。
培基(餌)
光合成細菌の成長に必要な栄養素を含んだ餌です。
容器(ペットボトルなど)
培養には光を透過する透明なプラスチックやウォータータンクなどの容器が最適です。1.5リットル以上のペットボトルを使用すると、より安定した培養ができます。※他の菌の混入を防ぐため、容器は綺麗に洗浄したものを使用してください。
水道水(カルキ抜き不要)
光合成細菌はカルキ(塩素)に強い細菌です。培養にカルキを抜いていない水道水を使用することで、他の雑菌を減らし、培養効率を高めることができます。※井戸水での培養も可能ですが、他の雑菌が多く含まれている場合があり、失敗しやすくなることがありますのでご注意ください。ただし、井戸水に含まれるミネラル成分によっては、培養効率が向上する場合もあります。
計量カップや漏斗(じょうご)
光合成細菌(PSB)
光合成細菌の培基(餌)
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ビール酵母は、比較的安価に入手できる事がメリットですが、必要な栄養素が不足しているため、濃度を高くするのが難しく、失敗する事があります。また、培養を繰り返していくと、菌種が絞られる事がデメリットです。
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専用培養液は、やや費用がかかりますが、光合成細菌に必要な栄養素を専用に配合しており、培養精度が高く、濃い光合成細菌液を作ることができます。また、複数の菌種に対応しているため、繰り返しの培養も可能です。
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米のとぎ汁は、お米を炊くときに取っておけば無料で手に入るというメリットがありますが、他の方法に比べて培養の成功率が低く、濃く仕上げるのが難しいというデメリットがあります。
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光合成細菌はさまざまな餌で増やすことができますが、複数の菌種があり、栄養バランスが整っていないと失敗しやすく、うまく濃くならない場合があります。培養がうまくいかない場合は、専用培養液をお試しください。
光合成細菌専用培養液はこちらから
光合成細菌PSB培養手順
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① 綺麗に洗浄したペットボトルやウォータータンクなど、光を通す容器に光合成細菌を10〜50%の割合で入れます。
※種菌の割合が多いほど、培養の成功率と速度が向上します。 -
② 水を満タン近くまで注ぎ、培基を加えます。
培養液の場合:全水量の約0.5%
500ml=2.5ml、2L=10ml
ビール酵母の場合
500ml=2錠、2L=8錠 -
③ なるべく空気が入らないように水を満量まで注ぎ、蓋をしっかり閉め、軽く振ります。
※ビール酵母錠剤を使用される場合は毎日撹拌してください。 -
④ 日当たりの良い場所に置き、1〜2週間経つと赤みが強くなり、培養が完成します。
※夏季は、より短い期間で完成し、冬季は長くなる事があります。
培養成功時の色
光合成細菌の培養が成功すると、紅色から茶褐色までの色になり、容器の奥が透けないほど濃くなります。さらに、光合成細菌が大量に増えると、細菌の密度が高くなり、菌体が光を吸収しやすくなるため、黒みが強くなることもあります。培養後の光合成細菌の色がさまざまである理由には、以下の要因があります。
栄養条件の変化:光合成細菌は、利用可能な栄養素の種類や濃度に応じて色が変わることがあります。
環境条件の変化:光の強さ、温度、pH、酸素濃度などの環境条件が変わることで、細菌の代謝活動が変わり、色の変化を引き起こすことがあります。
菌種の異なる割合:光合成細菌には多数の種類があり、培養環境によって菌種の割合が変わることがあります。特定の菌種が優勢になると、その菌種特有の色が現れることがあります。
色素の分解:長時間の培養や環境の変化により、光合成細菌が作り出す色素(カロテノイドやバクテリオクロロフィル)が分解され、色の変化が生じることがあります。
使用する培基:有機物が多く含まれる培地では、光合成細菌の代謝が進むにつれて、培養液の色がより濃くなり、時には黒っぽく変化することがあります。
これらの要因が複合的に作用するため、光合成細菌の培養時の色味はさまざまに変化します。
培養失敗時の色や原因
光合成細菌の培養が失敗した場合、液体が白色、緑色、透明になることがあります。
白色になる場合
他の細菌の繁殖:液体が白色に変わる場合は、他の雑菌や細菌が増殖してしまった可能性があります。培養容器や器具が十分に清潔でなかったり、酸素量が多く好気性細菌が増殖することが原因で、培養が失敗することがあります。
注意:容器の壁面に白いものが付着することがありますが、これは光合成細菌が作るバイオフィルムで、この状態は培養が順調に進んでいるサインで、失敗ではありません。
緑色になる場合
緑藻の繁殖: 緑色に変わる場合は、緑藻(藻類)が繁殖していることが原因と考えられます。これは、栄養素が光合成細菌に特化していない場合や、培養に使用する水や種菌に藻類の胞子や他の微生物が含まれている事が主な原因です。
透明になる場合
栄養不足または増殖不良: 液体が透明なままのときは、温度不足や日照不足、あるいは栄養が不足していることが原因です。
特に冬場は気温が下がり、日照時間も短くなるため、菌が活発に増殖できず、透明なまま培養が失敗しやすくなります。
上記の問題が発生した液体や容器は廃棄するなどして、再利用しない方が良いでしょう。
ビール酵母や米のとぎ汁を用いた培養の問題点
ビール酵母や米のとぎ汁での培養では、培養に失敗することが多々あり、培養を重ねていくと成功確率が下がっていきます。その原因にはいくつかの理由があります。
栄養素の不足:ビール酵母や米のとぎ汁には、光合成細菌に必要な有機酸やミネラルなどの栄養素が不足しています。光合成細菌は多様な栄養素を必要とし、特に特定の有機酸やミネラルが重要です。
他の菌の繁殖:栄養素が光合成細菌に特化していない場合、雑菌や藻類が増殖しやすくなります。特に緑色藻類が繁殖することで、光合成細菌の増殖が妨げられることがあります。
菌種の偏り:光合成細菌の中でも特定の菌種が優先的に増殖し、特定の種が増えにくくなることがあります。これにより、光合成細菌全体の増殖が不安定になります。
これらの理由から、培養を重ねると菌種が限られていき、失敗することが多くなります。光合成細菌には多数の菌種があり、それぞれが異なる栄養条件に応じて増殖特性が変わるため、培養がうまくいかない場合は、複数の菌種に対応した専用培養液を使用することをおすすめします。
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